会社の存在意義『パーパス』とは
パーパスについて考える
パーパス(purpose)とは、「目的」「意図」「意思」といった意味で、近年、企業経営など、ビジネスシーンにおいて注目されている言葉の一つです。若いビジネスパーソンやこれから就職を考える学生層にも浸透しつつあり、求職者の目線、消費者の目線問わず、その企業を選ぶ理由の一つとしてパーパスを重要視する人も増えています。
ビジネスシーンにおけるパーパスは特に『会社の存在意義』という意味で使用されており、パーパスを掲げ、それをベースにかじ取りを行う企業経営を『パーパス経営』と呼びます。
◇経営理念との違い
会社の存在意義という意味では『経営理念』と近い概念ですが、パーパスは特に『社会とのつながり』や『社会への貢献』が意識されたものになります。永続的な社会貢献をテーマにしたものも多いため、経営者の思いや価値観を表現した経営理念とは違って、経営者の交代、時代やニーズの変化がおきても、基本的には大きく変化をしないものと考えられています。
◇ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)との違い
ミッション・ビジョン・バリュー(MVV)も、パーパスとの違いが分かりづらい言葉です。
MVVは「もしドラ」「マネジメント」で有名なドイツの経営学者P.F.ドラッカーが重要視した概念で、経営理念同様、明文化し掲げている企業も多くあります。
一般的に、ミッションは『企業が果たすべき使命』、ビジョンは『企業が目指す未来像や構想』、バリューは『企業の価値観や行動指針』と解釈されていますが、これだけでは、パーパスとの違いが分かりづらく、理解が深まりません。
そもそもMVVは、パーパスと違う、というよりも、パーパスとともにまとめて理解する方が適切だともいえる概念です。パーパスが企業の存在意義であるならば、果たすべき使命であるミッションや、未来像であるビジョンを切り離して考えることの方にムリがあります。
パーパスとMVVの相関イメージ
MVVの中でミッションもパーパスに近い概念ですが、ミッションとパーパスはその違いについて「WHAT」と「WHY」という対比でよく説明されています。企業として目指す姿に向け「何を(WHAT)するのか」がミッション、そもそも「なぜ(WHY)存在するのか」がパーパスといった捉え方です。
・パーパス=社会的な意味を持った企業の存在意義/なぜ存在するのか(Why)
・ビジョン=企業の目標/いつまでにどこを目指すのか(When/Where)
・ミッション=目標に向けて行うこと/何をするのか(What)
・バリュー=企業としての価値観と行動規範/どうするのか(How)
パーパスの必要性は?
パーパスを意識した場合、パーパス≒企業の在り方≒企業の目指すところ、となり、パーパス>ビジョン(または経営理念)という構図になりがちですが、経営理念にしてもMVVにしても、実際にはその定義はあいまいです。解釈も各企業や人によって様々なので、本来、優劣や順位付けのような形では説明ができません。
現在、経営理念や社訓、ビジョンやミッションを掲げている企業が、その上位目標のようにパーパスを設定する必要があるか、と言われれば、必ずしもそうではありません。
大切なのはその企業に、経営者やスタッフ、また取引先や顧客の方々に至るまで、共有(認識)できるあり方や目標、価値基準が存在しているかどうかです。その基準がパーパスであるか、経営理念であるかの選択は自由であり、もしあなたの会社に、すでにそうした価値基準が存在しているのであれば、今あるものを変えてまでパーパスを掲げる必要はありません。
反対に、これから起業される方や、まだ明確な価値基準を掲げていない会社、また、今後よりグローバルなブランディングを行いたいと思われる会社であれば、パーパスを持つ意味とメリットは十分にあります。
古くはエコ、近年はSDGsと、企業の社会貢献、社会に対する責任はますます重要視されるようになります。それに伴い、『企業の見られ方』も変化していきます。
一度あらためて、企業としての目標や存在意義を考えてみることも、経営の楽しみであり、それをきっかけに、何か新しい価値の発見があるかもしれません。本記事をお読みいただいた経営者の皆様も、ぜひ一度、自社のパーパスについて思索されてみてはいかがでしょうか。
ここまでお読みいただきありがとうございました。次回投稿にもご期待ください♪